現実と向き合おう
株取引をやっていく上で、一番やってはいけない事は何だと思いますか?
まず真っ先に出てくるのは、損切りを覚える事、でしょう。確かに損切りは非常に重要です。
一番というのもうなずけるくらいに。
しかし、それ以上に重要な事があります。それは、現実から目を背けない事です。
何だそれくらい簡単じゃん、と思う人もいるかもしれませんが、実際に一度、自分の銘柄の株価が急落したという場面を目の当たりにしても、同じ事が言える人が果してどのくらいいるでしょうか?
人間は、どうしても自分の失敗や、辛い現実から目を背けてしまう生き物です。逃げる事自体が悪いという訳ではありませんが、次を見据えない逃げはただの堕落です。
そして、株取引において、目を背けるという行為は、致命的になります。ここで一つ、目をそらしたが為にとんでもない事になってしまった失敗談を挙げます。
Sさんという、どちらかというと繊細な性格の人がいました。彼は、職場でもあまり目立つ方ではなく、積極的に話をするタイプではありませんでした。
そんな彼が、株を始めたのは、2ヶ月くらい前でした。朝起きて、注文を出し、帰ってきてその結果を見る、という毎日だったそうです。
彼は非常に堅実な性格だったので、損切りもしっかりできており、決して突出した利益は上げなかったものの、トータルで見るとまずまずの結果を得ていました。
そんな彼に、一つ試練が訪れます。彼が所有していた銘柄の一つに、地域新聞社(2164)がありました。
新興市場の銘柄で、当時上場して間もない株でしたが、12~15万ラインで安定しており、何より値動きが彼にとって理想のものだったのが、購入の理由でした。
一日の内に数千円動き、急激な上昇、下降はなく、下がった時に買い、上がった時に売るという基本を最も実行しやすい株だったのです。
既にその銘柄で彼は10万円以上の利益を得ていました。そんな銘柄が、ある日突然大きく値崩れを起こします。
それまでは下がっても1万円だったのが、ストップ安になってしまいました。
繊細な彼は狼狽し、思わず画面から目を背けてしまいました。そしてその後、一月近くパソコンから離れてしまったのです。
どうせまた上がるさ、という思いではなく、下がっている表示を見たくなかったのです。そして、一月後にようやく冷静になれた彼が株価を確認すると、その銘柄は5万円という株価を表示していました。
彼はそれで総資産の4分の1を失う事となりました。
堅実な人ほど、いざという時に臆病になってしまいます。彼の場合、ストップ安の次の日に売れば、被害は最小限ですみました。
しかし、自分の含み損の表示を見るのが嫌で、忌避してしまったのです。慎重さが大事といわれますが、こういう人には、株は向いていません。